会社の種類と特徴
現在新たに設立できる会社は、「株式会社」、「合同会社」、「合名会社」、「合資会社」の4 種類です。このうち合名会社と合資会社は古いタイプの会社であるため、最近は新規設立ではほとんど利用されていません。これから会社を設立するなら、株式会社か合同会社かを選択することになります。 また会社ではありませんが、「有限責任事業組合(LLP)」もひとつの選択肢になると思います。
※「有限会社」は平成18 年に廃止され、現在新規に設立することはできません。
【株式会社】
株式会社の特徴は、有限責任(株主は出資した範囲でのみ責任を負う)と、所有と経営の分離(出資者である株主は直接経営にはかかわらず、取締役に会社経営を任せる)にあります。
広く出資を募ることができるため多額の資本を集めやすく、規模の大きな事業に適しています。
以前は資本金1,000 万円以上、取締役3 人以上といったハードルがありましたが、会社法施行後はこれらが撤廃され、規模の小さい事業にも合うようになりました。
現在は、株式会社が新規設立会社の90 %以上を占めています。
【合同会社(LLC)】
平成18 年の会社法で新たに創設された会社形態で、出資者(合同会社は「社員」といいます)は出資した範囲でのみ責任を負うという有限責任は株式会社と同じですが、原則として出資者全員が経営に参加する=所有と経営が一致しているという点で大きく異なります。
また、法律上の強行規定はほとんどなく、会社(出資者)が決めたルールに基づいて柔軟な会社運営をすることができます。
株式会社に比べて設立手続が簡単で費用も安いのが魅力です。平成19 年までに約1 万社が設立されていますが、まだまだ知名度が低いのが難点です。
【有限責任事業組合(LLP)】
こちらも平成17 年に新たに創設された事業形態で、合同会社とよく似ています。
合同会社と異なる主な点は、出資者は2 人以上必要で、しかも必ず事業に従事しなければならないため必然的に共同事業となること、 法人格がないのでLLP自体に法人税は課税されず、利益の分配を受けた出資者に対して税金が課税される(パススルー課税)ことです。
事業の損失も出資者に分配されるため、その損失を出資者の所得と相殺して出資者の税負担を軽減できるのが大きな特徴です。
平成19 年までに約2,700 のLLPがつくられています。
LLC、LLPともに専門性・特殊性の高い知識・ノウハウ・技術を持った個人や企業が集まり、人的資産を活用した創業、ジョイントベンチャー、産学連携といった共同事業を行うのに適した組織体ですが、LLC は継続的に利益が得られる安定的な事業、LLPはハイリスク・ハイリターンのプロジェクト型事業に向いています。
【比較表】
株式会社 | 合同会社 ( LLC ) | 有限責任事業組合 ( LLP ) | |
---|---|---|---|
資本(出資)金 | 1 円以上 | 1 円以上 | 2 円以上 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 有限責任 |
最低人数 | 1 人 | 1 人 | 2 人 |
定款認証 | 必要 | 不要 | (定款はない) |
役員の任期 | 最長10 年 | 無期限 | 無制限 |
利益の分配 | 出資割合による | 自由 | 自由 |
決算公告 | 義務あり | 義務なし | 義務なし |
課税方式 | 法人課税 | 法人課税 | 構成員課税 |
事業の継続性 | あり | あり | なし(有期) |
株式会社化 | ― | 可能 | 不可 |
定款印紙代※ | 40,000 円 | 40,000 円 | ― |
---|---|---|---|
定款認証代 | 50,000 円 | ― | ― |
定款謄本代 | 1 枚 250 円 | ― | ― |
登録免許税 | 150,000 円 | 60,000 円 | 60,000 円 |
合計 | 240,000 円~ | 100,000 円 | 60,000 円 |
※上記のほか、印鑑証明書等の取得費用が数千円必要です。
※電子定款の場合は印紙代がかかりません。